1922年3月3日に京都の岡崎公会堂に全国から1000人が参加して、全国水平社創立大会が行われました。
およそ50年前に出された賤民廃止令(いわゆる解放令)は全く実効的な意味をなさず、被差部落出身の若者らが中心となっての取組は全国的なうねりとなって『水平社宣言』を採択するまでになりました。
本年の3月3日には、全国水平社創立100年を記念して、ロームシアター京都で記念式典が開催されました。
冒頭には100周年に合わせて島崎藤村著の「破戒」を映画化したものに出演した俳優の峰蘭太郎さんが『水平社宣言』を朗読しました。また、式典後にはこの映画も上映され、主演の間宮祥太郎さんも紹介されました。
部落解放同盟中央本部の組坂繁之中央執行委員長は「人間の尊厳を求める宣言をもう一度胸に刻んで運動を発展させたい」と挨拶し、ロシアによるウクライナ侵攻にも触れ、「戦争は最大の人権侵害。戦争反対の声を上げ、平和を求める運動を起こさなければならない」と述べました。
三重県の水平社創立は全国に遅れること1ケ月半後の4月21日に松阪市で設立集会が行われました。京都・埼玉に次いで全国で3番目に早い結成でした。参加者は約600人で、会員数は1271人で全国でも最多となりました。全国の設立集会にも20数名の青年が参加したといわれています。写真中央の議長席にいるのは上田音市さん(現松阪市出身)。全国水平社創立の中心メンバーの一人で、101歳まで生き、全国水平社の生き証人と言われました。
また、松井久吉さん(現伊賀市出身)は旧上野市議をしつつ部落解放同盟中央執行委員や同副委員長を歴任し、1975年から8年間、部落解放同盟中央執行委員長の重責を果たされました。
三重県人権センターは1996年に建設されましたが、当時の三重県部落解放同盟執行委員長の森下勝幸さん(現伊賀市出身)などのご尽力により実現しました。
このように三重県では全国をリードする立場の運動家を多く輩出しています。
『水平社宣言』は100年が経過した今でもその瑞々しさは失われていません。
論点として
1 「人間を尊敬することによって、自らを解放せんとする者の集団運動を起こせるはむ
しろ必然である」は水平社宣言が我が国最初の人権宣言と言われるゆえんです。
2 「吾々がエタである事を誇りうる時が来たのだ」
3 「人の世の冷たさが、どんなに冷たいか、人間をいたわる事が何であるかをよく知っ
ている吾々は、心から人生の熱と光を願求礼賛するものである」
そして、最後にはあまりにも有名な「人の世に熱あれ、人間に光あれ」というフレーズで結んでいます。
『水平社宣言』が現在でも色あせないのは、その文面のすばらしさがあるだけでなく、今もなお部落差別が温存されてしまっているという残念な現実があります。
いろいろな通信機器や通信技術の発達により、差別が隠蔽化・陰湿化され見えなくなってきている実態があります。
私たちは団体名に「反差別」というフレーズをいただき、その立場を明確にしてきました。
三重県水平社創立100年という記念すべき年に気持ちを新たにして取組をすすめていきたいと決意します。
2022年4月21日
公益財団法人 反差別・人権研究所みえ
【 愛称:ヒューリアみえ 】
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